映画冒頭、暗闇の画面に浮かびあがるユーレイのごとき男の顔。
様々な解釈が出来る結末の真相と、台本の段階では構想があったという、幻のラストシーンに迫ります。 「振らなきゃ始まらないよ」 冒頭の暗闇は、野球場のトイレでした。そこから出てきたのは、草野球チーム・イーグルスの補欠メンバー、雅樹(小野昌彦)。彼は野球のルールもろくに知らず、無気力を絵に描いたような男。 「振らなきゃ始まらないよ」 そんな無気力人間でも、彼女(石田ゆり子)はいて、振るところは振っていたようです。 バイト先のガソリンスタンドで因縁をつけられたヤクザに報復するため、沖縄へ拳銃を取りに行くことに。そこで知り合った二人のヤクザ上原(ビートたけし)、玉城(渡嘉敷勝男)と行動を共にします。 拳銃を手に入れた雅樹は東京に戻り、イーグルスのメンバーとヤクザの事務所へ行きますが、メンバーは返り討ちに。逃げ延びた雅樹は、タンクローリーでヤクザの事務所に突っ込み大爆破を遂げるのでした。 ここで、画面は暗転し、暗闇の画面に浮かび上がる雅樹の顔・・・。 結末の真相は背番号3番に隠されていた 日本映画専門チャンネル『北野武劇場』にて、雅樹役を演じた柳ユーレイ(現・柳憂怜)さんが興味深いコメントを残しています。 「主人公の雅樹っていうのは、レギュラーで背番号3番でサード4番っていう設定なんですよ。出来る男が「俺、野球やってて、ちゃんと出来てるけど、もし俺がダメな人間だったらどうなるんだろうな?」っていう発想で出来ている話なんです。」 「ラストカットっていうのは、雅樹がトイレから出てきて、そのまま走っていく、最初は歩いてタラタラ歩いて戻るっていうのが、(最後は)走ってベンチに戻るんですけど、攻守がチェンジした時に、雅樹はそのままサードに守備につくんですよ。」 幻のラストシーン 日本映画専門チャンネル『北野武劇場』で、本作のプロデューサー・森昌行氏によって、幻のラストシーンの構想が語られています。 「バリ島の白い砂浜に主人公たちが、ガソリンスタンドからポンと飛んでる。つまり、そこへ逃げたという設定になっていて、彼女がパッと現れて陽を遮るところで、主人公たちの目の前が暗くなるんですね。そこで目覚めるというか、もういっぺん、ガソリンスタンドに戻って、そこでバットを取って、ホントに殴るかどうか、みたいなところで終わる作りだったのですけども。」 では、なぜこのラストシーンの構想は実現しなかったのしょうか。 ー『3-4x10 月』って、いろんなチャレンジが入るはずだったんだけど、息切れしちゃったんだよね。途中で破綻しちゃったんだなぁ。もう完全に、途中で映画を撮るスタミナが切れたっていう。 (北野武『物語』より) なぜ息切れしちゃったの? 気になるのは、北野武監督が映画以外にもやりたかったことですが。 —女遊びとか、酒呑むとか(笑) (北野武『物語』より) ・・・。 あまり深く考えていない北野武監督でした。
by tokephone
| 2014-02-11 16:45
| 北野武
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