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HANA-BI
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ヴェネツィア国際映画祭で、日本人映画監督としては39年ぶりの金獅子賞受賞という快挙を成し遂げ、名実ともに「世界のキタノ」が不動のものになった本作。ヨーロッパでは、透明感のある「キタノ・ブルー」も高い評価を受けました。

そこで今回は、北野映画の代名詞「キタノ・ブルー」に迫ります。『HANA-BI』の名シーンとともにどうぞ。


キタノ・ブルーとは
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「キタノ映画」のビジュアル面での特徴として、画面全体のトーン、小道具の色などに青が頻繁に使われるというものがあり、気品があるとして「キタノ・ブルー」と呼ばれる。特に『ソナチネ』など中盤までの作品において顕著で、ヨーロッパで高い評価を得た。

(wikipediaより)


北野組が語るキタノ・ブルー
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北野武監督を支えるキャメラマン・柳島克己さんと照明の高屋齋さんの対談で、キタノ・ブルーが生まれたきっかけを語っています。

ー柳島「『あの夏、いちばん静かな海。』のラストシーンで女の子が傘をさしている時に雨が降ったんです。雨が降ると色温度が上がる。普通に撮ると青くなるわけです。監督はコンクリートが雨に濡れている沈んだ感じの青と傘の色のバランスがすごく気に入って、それが『ソナチネ』の時にブルーをやろうとかっていうのに繋がってくんです。そういうことが、スタートからえんえんと受け継がれてきたと思うんですね。まず『3-4x10月』のファーストシーンで海だけ撮ってる。その何にもない、何でもない、あの青さをやりたいって話になるわけだから全部がつながっている。監督の生理のなかでも、やはりブルーっていうのが一つあったんでしょうね。それを『ソナチネ』で膨らまそうかって話になった。
ただ、この前も高屋さんと話したんだけど、HMIってライトを使うと基本的にブルーになるんです。ブルーの映画なんていくらでもある。作品の内容とマッチしているからキタノ・ブルーになるわけで、単純に青いからじゃないと思うんですよ。」


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ー 高屋「ブルーを強調するって言うより、赤や他の色を排除して、とにかくモノトーンに近い。だから『キッズリターン』はモノトーンでやりましょうか、っていったぐらいだから。怒られたけどさ(笑)。カラーなんだけどモノクロっていうイメージが絵的には一番贅沢なのかな。でも、それが結論なのかもわかんないね。単純に色を抜いちゃえばいいのかってなると、そうでもない。微妙なニュアンス。俺はブルーじゃなくて、モノトーンの印象があれば嬉しいな。ブルーが一番、色が死んでくれる。でも、美しくないといけないっていう前提があるじゃないですか。日本人のフェイストーンって黄色いんですよ。例えば、赤っぽいとフェイス・トーンが濁る。そうならない色は青なんです。それに基本的に白っぽい印象があれば、美しく見えるんじゃないか、と。」

(キネ旬ムック『フィルムメーカーズ 2 北野武』より )


北野武監督が語るキタノ・ブルー
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モノトーンに近い効果を狙った「キタノ・ブルー」ですが、北野武監督は自分の映画をカラフルだと言い、その理由は子供時代の体験によるものだと語っています。

ー俺の映画で、キタノ・ブルーっていわれてるのがあって。あれは基本的にはねえ、外国の映画ってね、景色があるじゃない。ビル、家並みとかさ。外側いじんないし。ヨーロッパなんかもう、決まってて統一されてんだけど。日本で使える風景って、高層ビルから湾岸の、あのへんのいかにもバブル都市みたいなところは使えるけど、あとは一切使えるとこないのね。使いたいとこは撮影禁止だし。そうするとね、東京もネオンががちゃがちゃしてて、香港とかと区別つかないし。東京らしくしようっていっても、町並みじゃあ描けないっていうのがわかってて。たぶん『キッズ・リターン』あたりでねえ、色が統一できてんのはどこかなと思ったら、単なるトタンのグレーとか黒とか。色のないとこって下町の工場街だよね。品川とか行っても、みんな灰色なわけ。で、空の色と灰色っていうと、だいたい統一されたブルーになっちゃうね。だから、とにかく赤と黄色が一切出てこないようなとこばっかし選んでたら、それが(キタノ・)ブルーっていわれるようになったよね。これが日本の色なんだよね。

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ーキタノ・ブルーっていうけど、結構色は、いっぱい使ってんだよね、派手なの。たぶんアクリル(絵の具)だからだと思うんだよ。油絵だとねえ、混ぜてね、陰翳つけて、フラットじゃない絵を描くけど、アクリルで時間がないとね、浮世絵的なものになる。色がついて、ポスターみたいな平らなやつね。陰翳がないってか、立体じゃないやつを描いちゃうんだよ。それは、派手な色が好きだからみたいね。(中略)あと、油絵みたいに時間かけて、立体的に描くっていう技術もないっていうのがあって。ほとんど書きなぐりみたいなとこあるから。それでじゃないかね。

基本的に家がペンキ屋だからじゃないかなぁ。ペンキ屋ってさあ、金がないときだけだよね、くすんだ色に塗んの。昔のペンキ屋は、ペンキを塗ったって証がいるんで、はっきりと塗っちゃうじゃない(笑)。「塗ったのこれ?汚い色塗って」って言われんのヤだから、わりかしはっきり塗ってるじゃない?青は青とか。


(北野武『女たち』より)


キタノ・ブルーのカラーコードを調べてみた
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画面全体のトーンや小道具の色を指す「キタノ・ブルー」ですが、「キタノ・ブルー」をカラーコード(※)で表現出来るのでしょうか・・・!?調べてみました。

※カラーコードとは、Webページ上で表現される色を指定するためのコード

北野映画のオープニングでおなじみ、オフィス北野のロゴマーク。
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このロゴからカラーコードがわかるんじゃね?と思い立ち、オフィス北野のウェブサイトにアクセスすると、ありました!!ロゴマークが。

このロゴマークをPhotoShopのスポイトツールでカラーコードを取ってみると、次のようになりました。
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ちなみにこのカラーコード、オフィス北野さんに裏を取っていないので、あしからず。


作品情報
・公開:1998年 日本ヘラルド映画
・監督、脚本:北野武
・撮影:山本英夫
・音楽:久石譲
・美術:磯田典宏
関連リンク
Wikipedia:HANA-BI
Amazon.co.jp:『女たち』北野武(著)
オフィス北野

by tokephone | 2014-07-13 19:42 | 北野武
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