今回は、山本耀司さんによる『Dolls』の衣装について、関係者の証言や文楽との関係も絡めながら、『Dolls』の美しい映像の世界とともにお届けします。 文楽に勝たなくてはいけないのですよ 山本耀司さんは、文楽が重要な意味を持つ映画ということもあって、文楽を強く意識していたようです。そんな話し合いの様子を、本作のプロデューサー・森昌行氏が、日本映画専門チャンネル『北野武劇場』でこう語っています。 「日本の歴史的な文化遺産である人形浄瑠璃を持ってきて、その人形浄瑠璃に勝てと言ってるのですよ。あの素晴らしい人形浄瑠璃の衣装・・・あれは生地だって何百年も前のものをいまだに使っているのですよ。残り生地を使ったりしながら。その日本の伝統的な文化遺産と呼んでもいい世界観を、菅野さん、あなたは演者としてあれに勝たなくてはいけないのですよ。そして私も衣装で勝たなくてはいけないのですよ」 文楽とは 以下はWikipediaのコピペです。 ー文楽(ぶんらく)は、本来操り人形浄瑠璃専門の劇場の名である。しかし、現在、文楽といえば一般に日本の伝統芸能である人形劇の人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)を指す代名詞である。 ちなみに、『Dolls』の冒頭で登場するのは、近松門左衛門による文楽の名作『冥途の飛脚』(めいどのひきゃく)。 ・Wikipedia:冥途の飛脚 ファッション・ショー この宣言の意図とは?『Dolls』映画パンフレットのインタビューで山本耀司さんがこう語っています。 ーファッション・ショーという意味は、もちろん、僕のファッションショーという意味ではありません。例えば前作の『BROTHER』のときには、できるだけ匿名のデザインを心がけたわけです。映画の衣装って、普通、そういうそういうものですよね。 北野武監督が語る『Dolls』の衣装 『Dolls』映画パンフレットのインタビューで北野武監督がこう語っています。 ー細かい打ち合わせはナシ。「ヨウジさんにすべてお任せします」って言って出てきたのがあの衣装。ヤラレたって感じだね。 でも、そこで腹をくくったというか。もともと「人形が語る」っていうコンセプトだったのを、もっとはっきり「人間が人形に操られている物語」にすればいいわけだから。衣装のおかげで「日本の四季」を舞台美術そのものだ、っていうふうに撮ろうという方向性が決まった。それはうまくいったと思うよ。 だからヨウジさんの衣装じゃないきゃ成立していないんだよね。 もう、ヨウジさんの圧勝。 『Dolls』その後 この反応が、後の北野武監督の映画作りに少なからず影響を与えてしまったようです。 ーいい映画にできたなあと思ったんだけど、そのあともああいうのを続けなかったっていうのは・・・やっぱり、客の入りじゃないのかなあ(笑)。入んなきゃしょうがねえし。なんか・・・もうちょっと、ってのはあるよねえ。頭わりいな、っていうか。あれを撮った当時、みんなが傑作だって言ってくれりゃあ、もうちょっといい映画、撮りだしたんだろうけど。 (北野武『物語』より) 次回作となる『座頭市』は北野映画最大のヒットとなったもの、『Dolls』以降、北野映画は何かが変わったと感じるのは私だけでしょうか。 作品情報
・公開:2002年 オフィス北野/松竹 ・監督、脚本:北野武 ・撮影:柳島克己 ・音楽:久石譲 ・美術:磯田典宏 関連リンク ・Wikipedia:Dolls(映画) ・Yohji Yamamoto Official Site ・公益財団法人 文楽協会 オフィシャルウェブサイト:文楽とは
by tokephone
| 2014-12-23 09:27
| 北野武
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